はじめに
RS485およびRS422は、産業用ネットワークや長距離通信で広く利用される差動伝送方式の規格です。ノイズ耐性に優
れますが、終端抵抗とフェールセーフ回路の適切な設定が通信品質を左右します。本記事では、これらの抵抗選定の基
本的な考え方を解説します。
1. 終端抵抗の選定
信号が異なるインピーダンスを通過するときに反射が発生します。終端抵抗は、送信ノード、受信ノードの両側のイン
ピーダンス・マッチングのために使用します。終端抵抗が適切に設定されていると、反射が最小限に抑えられます。
インピーダンス・マッチングのためのターミネータ(抵抗値)は、ケーブルのインピーダンス特性により決定されますが、
通常は120Ωが使われます。
終端抵抗がない場合、信号は反射され、送信信号と反射波が結合して波形が歪みます。波形が歪んでいると正常な受信
ができなくなります。これは、人が話しているときの音波が部屋の中で伝わり、壁にぶつかって反射し、元の音波と重
なって、私たちの耳に元の音がはっきりと聞こえなくなるのと似ています。
1)以下は通常の波形の例です。
Vin-H は、入力信号がこのライン以上になると高レベルとして認識されます。
Vin-L は、入力信号がこのレベル以下になると低レベルとして認識されます。

2)反射が生じ波形が乱れた場合の例を載せます。
図の赤い矢印の位置から、このときの低レベル信号が反射信号との重なりにより高レベルとして認識されていることが
わかります。

2. 終端抵抗の位置選定
以下はRS485を例に挙げています(RS422も同様です)
1. 2 台の接続方法は、下図のとおりです。
2 台の RS485 デバイスが相互にデータを送受信します。2 台の RS485 デバイスの信号入力に終端抵抗を接続します。

2. 複数台の接続方法は、下図のとおりです。
伝送路が長くなる場合や複数の機器が接続される場合に、中間にも終端抵抗を配置することが必要な場合がありますが、
中間の経路にも終端抵抗を配置してしまうと伝送路全体のインピーダンスが変化し信号の反射が起きてしまう可能性があ
ります。そのため、一般的には最初と最後の機器にのみ配置します。機器やケーブルなどの仕様にあわせて、終端抵抗の
値や配置する箇所を適切に調整することが重要です。

3. フェールセーフ回路
フェイルセーフ動作: フェイルセーフ保護も、485アプリケーションの多くで必須とされる機能です。ただし、その有用性
はアプリケーション・レベルで考慮され、理解される必要があります。フェイルセーフ保護の必要性: 複数のドライバ/レ
シーバからなるパーティライン構成のインターフェイス・システムでは、駆動デバイスがアクティブでない期間が長くな
ります。この状態はライン・アイドル(line idle)と呼ばれ、ドライバの出力がハイ・インピーダンス状態になると発生しま
す。ライン・アイドル中の線路の電圧はフローティング状態(つまり判定不可能 — 論理Highでも論理Lowでもない状態)に
なります。その結果、ノイズの有無や、線路がフローティング状態になる直前にとっていた極性等が原因となってレシー
バが誤起動され、論理Highか論理Lowになってしまう可能性があります。これは明らかに望ましくない事態です。レシー
バにつながる回路で、この論理状態が有効な情報と解釈されるおそれがあるためです。このような状態を検知して、レシ
ーバの出力を既知の定められたステートにすることが最良の解決策です。これを確実に行う方法をフェイルセーフと呼び
ます。
4. フェイルセーフ回路抵抗計算

仮想RS-485ネットワーク構成の記述
ノード数:RS-485ノードがn個存在する
バイアス抵抗装備ノード:m個のノード(m ≤ n)がプルアップ/プルダウン抵抗を装備
各バイアス抵抗値:R(単位:Ω)
トランシーバ入力抵抗:Rin(全ノード共通)
終端抵抗構成:
バスの両端には、2つの終端抵抗Rtが接続されています
ノード電流に基づいて、次の式が得られます。

チップのデータシートに従って、VA-VB値(通常は>200mV)と入力抵抗Rin値を入力します。
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